CBDとは何か

*本サイトの情報は各種の病気・障害・不調を治療または軽減、改善する効果を宣伝するものではありません。
また、国内の法律に違反する行為を助長する目的もありません。
CBDの科学的情報を教育的に提供すること目的としています。


はじめに
CBD(カンナビジオール又はカンナビダイオール)はアメリカにおいて2025年までに230億ドル(およそ2兆5千億円)に市場規模が拡大すると言われている、今最も注目されている物質です。CBDを一言で言うと、大麻草に含まれるカナビノイドと言われる植物性の化学物質で、人間をはじめ多くの生き物の体のなかに元々あるエンドカナビノイドシステムという健康維持機能に作用します。CBDの原料である大麻は元々日本でも古来より広く栽培され、利用されてき ましたが、戦後GHQが成立させた大麻取締法により違法薬物とされ「ダメ!絶対!」キャンペーンの下、悪いイメージを植え付けられてきました。しかし近年、カナダをはじめ嗜好品として大麻を合法化する国が出てくるなど、その安全性が認められ、大きな医学的価値があることがわかってきました。しかも陶酔作用が無く健康効果の高いCBDだけを抽出する方法が確立され、関税法で所定の要件を満たしたものが輸入できることとなり、日本でも大麻取締法に違反しない医療大麻が合法的に使えることとなりました。

1 何に効くのかな?
 『CBDのすべて』の著者アイリーン・コニェツニー女史によると、CBDは27の病気に効果が期待されています。皮膚病、睡眠障害、痛み、うつ病、がん、関節炎、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、片頭痛、発作性疾患(てんかん症候群)、依存症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ぜんそく、自閉症、アルツハイマー病、ADD/ADHD、不安神経症、脳震盪と脳/脊髄の損傷、糖尿病、繊維筋痛症、多発性硬化症、悪心/嘔吐、ニューロパチー、肥満、パーキンソン病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症です。その他、犬や猫などのペットの病気にも効果が期待されています。

※どんな効果なの?
 CBDには抗炎症作用、鎮痛作用、吐き気を抑える、けいれんを抑える、精神の安定、抗酸化作用、抗がん作用、骨の健康維持、新しい神経細胞の形成、脂肪と糖分の処理、気分や活力を高める、神経保護作用、ホルモンバランスを整える、などの効果があるとされています。
 2020年現在、日本においてはドラベ症候群など小児のてんかん発作の治療薬としての治験が開始されることになっています。
※なぜ効くの?
 CBDをはじめとするカナビノイドは大麻に含まれる医療効果のある植物性の化学物質で、ホメオスタシス/恒常性維持とよばれる体の健康バランスを保つ働きを助けます。元々我々の体にはエンドカナビノイドシステムという大麻の成分に似たもの(内因性カナビノイド)を作って利用する仕組みがあります。CBDは体内でこのエンドカナビノイドと同じように働いてくれるため、様々な効果を発揮してくれます。

2 安全なの?
 大麻と言われると「中毒になる」「頭がおかしくなる」「脳細胞が壊れる」「やめられなくなる」「他の強い麻薬がやりたくなる」「体がボロボロになる」などのイメージをもっている方もいるかと思います。実はこれらには科学的根拠がないか、かなり古い偏った研究結果に基づいています。
 1944年にニューヨークのラガーディア市長はニューヨーク医学アカデミーに大麻の肉体的、社会的影響の調査を依頼しました。結果は大麻には依存性がなく、他の薬物の依存症にもつながらないというものでした。また犯罪にも関係がないと結論されました。また、1975年には「マリファナと薬物乱用に関する全米委員会」別名シェーファー委員会において、大麻は「取締優先順位の低い薬物」であり、依存性はなく、より強い麻薬の使用につながらないというものでした。実際は大麻自体が安全性の高い有用な薬だとわかってきています。そして、そこから分離されたCBDはさらに安全な物質なのです。
 CBDにも精神安定や抗うつといった精神作用がありますが、大麻使用で問題とされる陶酔成分であるTHCとは異なる成分であり、現在の日本の大麻取締法でも規制されていません。CBDの摂りすぎで死ぬことは不可能だといわれている程、安全性の高い物質です。

※副作用はあるの?
 CBDの副作用について行われた研究は多くありませんが、体に障害を起こすことはないといわれていて、むしろ大量に摂っても問題ないと研究結果は示しています。ですが高濃度の抗てんかん薬としての使用で、疲労感、下痢、食欲と体重の変化、めまい、倦怠感、眠気、多動、軟便、イライラ感、心拍数の増加などの副作用が起こることがあると言われており、まれにですが、怒りっぽくなる、けいれん発作の増加、食欲減退、緊張、動悸、不眠を訴える人がいるといわれています。WHO(世界保健機関)の2017年の報告書によると、CBDは公衆衛生上の問題も濫用の危険性もないということが確認されています。2011年に行われた評価では最大1日1500ミリグラムまでのCBDを長期間摂取しても大丈夫だとわかっています。

※薬との飲み合わせは大丈夫?
 CBDは高濃度で摂ると相互作用で幾つかの処方薬の効果を高め、作用時間を長くします。これは肝臓の酵素の働きが抑えらるためですが、CBDと処方薬の飲み合わせが心配なときに簡単に判断する方法として、その薬を摂ったときグレープフルーツを食べるのを控えるように言われているかどうかがあります。CBDはグレープフルーツと同じように医薬品と相互作用を起こしますが、グレープフルーツより強く働きます。元々、CBDの効果は体質によって大きくバラつきがあり、医薬品との相互作用もそれぞれ異なります。不安であれば医師または薬剤師に相談してください。CBDと相互作用をおこす可能性があるのは、ステロイド、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、カルシウムチャンネル遮断薬、抗ヒスタミン剤、消化管運動機能改善薬(プロキネティクス)、抗HIV薬、 免疫抑制剤、ベンゾジアゼピン、抗不整脈薬、抗生物質、麻酔薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、βブロッカー、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、アンジオテンシンⅡ拮抗薬、経口血糖降下薬、スルホニル尿素です。

3 何からできているの?
 CBDは大麻から作られています。大麻は数千年もの間品種改良がされてきたため、その品種は現在数千種にのぼると言われています。その中でもTHCという陶酔成分を殆ど含まない品種である大麻、一般的にヘンプや産業用大麻と呼ばれる品種からCBDは作られることが多く、主に欧米で生産され、日本に輸入されています。

※大麻は違法じゃないの?
 現在、日本の大麻取締法では免許なく大麻を所持または栽培することが禁じられています。ただし、この法律は大麻の葉っぱと花穂を規制しており、茎部分と根、種を原料とする製品に関しては規制されていません。日本で流通しているCBD製品の殆どは、関税法で所定の要件を満たしたものが海外から輸入されており、大麻取締法に違反することはありません。

※どうやって作られているの?
 日本で流通しているCBDは主に大麻の茎部分を使って作られています。大麻からCBDを抽出するには、溶媒としてアルコール、ブタンガス、二酸化炭素などが使われます。それぞれに特性があり、抽出される成分が異なります。植物としての大麻にはCBDやTHCといった成分の他にも様々な化学物質が含まれており、テルペンやフムレン、ピネンやリナロールなどアロマテラピーで良く知られている成分があります。溶媒の種類により含まれる成分は異なり、CBDの濃度も変わってきます。

4 CBDの使い方

※どんな使い方があるの?

CBDには様々な形状があり、使い方も様々です。煙や水蒸気にして肺から吸収する喫煙とベーピング(気化吸入)。舌の裏や口の中の粘膜からリンパ、静脈を介して吸収する舌下摂取。消化器官を通して吸収する経口摂取。湿布薬やクリームを皮膚に塗布する方法。ここで注意したいのは、何が目的でCBDを使うのか?と使用するCBDがどのような形状か?ということです。例えば痛みを減らしたい場合、喫煙やベーピングは作用するまで1~3分しかかかりませんが、舌下や経口摂取では効果が感じられるまで10分~数十分かかります。しかし、一般的には舌下や経口摂取の方が作用時間は長くなります。喫煙やベーピングにはベポライザーなどの器具が必要であり、ワックスやリキッドなど、専用の形状のCBDが必要です。一方、オイルであれば、特別な器具は必要なく、舌下でも経口でも使えますし、皮膚に塗ることも可能です。どの使い方でも安全性に変わりはありませんので、自分にはどの使い方が向いているのか、色々と試してみるのも良いでしょう。

※どの位摂ればいいの?
CBDを使い始めるときは、試行錯誤が必要になります。人にはそれぞれ異なるエンドカナビノイドシステムの状態があり、今のところ血液検査や尿検査で簡単に調べることはできません。また、使用する目的によっても摂取量は変わってきます。ただし長年の間多くの人により実践されてきた用量を決める効果的で安全な方法があります。それは「少なく始めてゆっくり増やす」ことです。CBDは1日10ミリグラムから始めるのが良いとされています。摂る時間は自分で決めて構いませんし、1日に何回かに分けても構いませんが、CBDを摂ると目が冴えるという方は、午後の遅い時間や夜に摂るのを避けるようにします。今使っている量にあなたの体がどのように反応するか見定めるため、同じ用量を少なくとも数日から一週間は続けてから用量を増やします。増やす際も少しずつにしてください。CBDは用量が多ければ多いほど効くとは限りません。最も効果のある用量を見つけるため段階的に増やして行き、最低の量で効果が得られる適量を見つけます。不快な副作用を感じるようになる量(最大量)になった場合は、摂取量を減らします。CBDの使用ではセルフタイトレーションという考え方があります。これは必要に応じて、自分で自分が摂取するCBDの用量を調整することを意味します。

5 注意すべき点は?
CBDには「二相性」があると言われています。二相性とは、同じ物質が低用量のときと高用量のときで反対の効果をもつことを言います。CBDは低用量から中程度までは覚醒作用があり、高用量では鎮静作用があります。自分にあった使い方や用量を決めるときは、CBDのこの性質を理解しておく必要があります。また、CBDは安全な物質ですが、使用によって不快な効果が出たり、気分が悪くなったりしたときは、すぐに使用を止めて下さい。万が一症状が続くようであれば医師に相談してください。

あとがき
このページの情報はアイリーン・コニェツニー、ローレン・ウィルソン著、三木直子訳の『CBDのすべて』(株式会社晶文社、2019/12/20)を要約したものです。CBDについてより詳しい情報が必要な方は『CBDのすべて』をお読み下さい。